キム・ヨナさんも被害者?ヌルプム体操拒否で圧力か
側近らが起訴された上に、自身も「容疑者」と位置づけられ、いっそうの窮地に立たされている韓国の朴槿恵(パク・クネ)大統領。
その一連の事件をめぐって、新たな被害者の存在が浮上しました。
韓国各地で連日行われている退陣デモ。
朴槿恵大統領に対する怒りが一段と強まっています。
「(大統領に対し)さまざまな犯罪事実のうち、相当部分を共謀関係があると判断した」(検察特別捜査本部長)
検察側は20日、朴大統領の親友・崔順実(チェ・スンシル)被告ら3人を起訴。
このなかで、朴大統領についても一連の事件で「共謀があった」と指摘しました。
現職の大統領でありながら「容疑者」とされた朴大統領ですが、ここへきて徹底抗戦の姿勢を鮮明にしています。
「発表は事実でなく、客観的な証拠を無視したまま、想像と推測を繰り返して作った砂上の楼閣です。
いっそのこと憲法上、法律上、大統領の責任の有無を明確にできる合法的な手続きで決着するよう願います」(大統領府報道官)
今週予定されていた検察側の事情聴取を拒否するばかりか、大統領を辞めさせるための「弾劾手続き」を踏んで決着をつけるよう自ら促したのです。
こうしたなか、一連の事件をめぐって新たな疑惑が浮上しています。
「2年前、キム・ヨナ選手がヌルプム体操のイベントに出席しなかったため、不利益を受けたという未確認情報が拡散されている」
その被害者とされているのが韓国で圧倒的な人気を誇るフィギュアスケート女子の金メダリストのキム・ヨナさんです。
問題とされているのは、崔順実被告の側近が考案し、朴大統領の権威を背景に無理やり「国民的体操」に押し込んだとされる「ヌルプム体操」の発表イベントです。
韓国の一部メディアの報道によりますと、おととし11月に開かれたこのイベントにキム・ヨナさんも参加を求められたということです。
しかし、「イメージに合わない」との理由でこれを拒否。
すると、政府の外郭団体が決める翌年の「スポーツ英雄」を選ぶ際に、キム・ヨナさんが意図的に対象から外されたというのです。
韓国メディアは背景に「崔被告からの圧力があった」と報じていますが、キム・ヨナさんの所属会社は「不利益があったとは考えていない」とコメントし、過熱する報道を否定しています。
4週続けて開かれ、18万人(警察発表)が集まった19日の大規模デモ。
高まる国民の不満を背に、野党側は大統領の弾劾に向けて動き出しています。
しかし、弾劾には国会議員の3分の2以上の賛成が必要なだけでなく、憲法裁判所が結論を出すだけでも最大で6か月がかかります。
このため、大統領の強気の姿勢は、「時間稼ぎではないか」との憶測も出ています。